私選弁護士と国選弁護士の違いとは?
私選弁護人と国選弁護人の違いは様々です。
そもそも私選弁護人とは、被疑者やその家族などが私費で弁護を依頼した弁護士であり、逮捕された直後であれ裁判が始まってからであれどの段階からでも依頼をすることが出来ます。
これに対し、国選弁護人は資力の問題(一般的に50万円未満の資力とされている)から私選弁護人を依頼できない刑事事件の被疑者、被告人(被疑者が起訴されると被告人と呼ばれる)に対して裁判所が選任した弁護士のことです。国選弁護に関しては日本国憲法37条3項で,「刑事被告人は,いかなる場合にも,資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを附する」とされており、憲法上規定された権利であるとされています。
しかし、上記条文にあるように対象は被告人とされており、従来では起訴された後でなければ国選弁護人をつけることが出来ませんでした。近年の刑事訴訟法の改訂に際し、(従来の被告人にのみ許された被告人国選弁護に対して)被疑者国選弁護という制度が導入されました。その後対象も徐々に拡大し、現在では勾留事件全体に対して被疑者国選弁護制度を利用することが出来るようになっています。ここでの勾留事件とは、逮捕後原則3日以内に検察は起訴不起訴の判断をしなければなりませんが、さらに取調べが必要な場合などに10日以内の範囲で2回まで裁判所に請求できる勾留という措置が取られた場合のことを指します。
一般に私選弁護人のメリットとしては、国選弁護人よりも早い段階(勾留前から)選任できるためより早く証拠収集や示談交渉を行うことが可能で、不起訴などの処分に導きやすいことが挙げられます。刑事裁判における有罪率が99%を超えていることからも、起訴される前の早い段階からの行動が重要であると考えられています。
また、私選弁護人であれば、自分と合わないと感じた際など、いつでも解任、選任ができることもメリットとして挙げることが出来ます。自由に選べることから刑事事件に強い弁護士などを選ぶことが出来ます(国選弁護人の場合、選任できないため刑事事件を得意としない弁護人が付くことになる場合もあります)。一概には言えませんが、弁護報酬の違いから私選弁護人の方が国選弁護人よりもやる気があるという点も一般的に挙げられます。
これに対し国選弁護人のメリットとしては費用が抑えられることが挙げられます。私選弁護人の場合、その依頼期間も長くなることが多く費用は高額となります。国選弁護人であれば、原則として国が負担をし、場合によっては裁判所から国選弁護であっても費用の負担を求められることもあります(執行猶予付き判決のときなど社会復帰を果たし、費用を払うことが出来ると判断された場合)が、私選と比較すれば非常に低額で済むこととなります。
国選弁護鮮度に似たものとして当番弁護士制度というものもありますが、これは逮捕後1回限り無料で弁護士が相談を受けてくれる制度であり、2度目からは費用を払い私選弁護人として選任しなければ対応してもらうことはできません。
弁護士・田中太朗(和泉府中法律事務所)は、和泉市、泉大津市、堺市、岸和田市、貝塚市を中心に大阪、京都府、和歌山、兵庫、奈良、滋賀県の皆様のお悩み解決に尽力しております。刑事事件をはじめ離婚、相続、交通事故など身の回りの法律問題でお悩みがありましたら和泉府中法律事務所までご相談ください。