処分保留で釈放された場合、起訴や再逮捕される可能性は?
■処分保留の釈放とは?
捜査機関が証拠収集を行うにあたっては、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりすることを防ぐため、被疑者の身柄を拘束する必要があります。しかし、身柄拘束は被疑者にとって大きな負担となりますから、最小限にとどめておかなくてはなりません。
そこで、刑事訴訟法は、相当の嫌疑と逮捕の必要性が認められる場合に限って逮捕を認め、時間制限を設定しています。具体的には、警察官は逮捕後48時間以内に検察官に送致しなくてはならず、検察官はそれから24時間以内に勾留するか否かを決めなくてはなりません。勾留請求が認められた場合には、勾留の延長が認められない限り10日の間に起訴・不起訴の決定をしなければならず、起訴しない場合には釈放しなければなりません。
したがって、検察官としては、勾留期限までに被疑者を起訴するか、被疑者を釈放するかのいずれかの手段をとることとなります。もっとも、釈放するケースの中には、起訴しないことを決定して釈放する場合と、起訴・不起訴の判断を保留したまま釈放する場合があります。
■起訴される可能性はないとはいえない
検察官が処分保留で釈放を行う理由としては、①証拠が十分に集まっておらず有罪判決をとれるかが不確実であること、②被疑事実が比較的軽い犯罪であり起訴相当か否かが微妙であることなどが挙げられます。
①の場合には、勾留期間経過後の捜査状況次第では新たな証拠が出てくるかもしれませんし、②の場合であっても、逮捕勾留されていた犯罪とは別の余罪の捜査状況次第で起訴猶予と判断されるかもしれません。
いずれにせよ、釈放段階で不起訴処分の判断をしていないことからすると、起訴される可能性がないとはいえないでしょう。
■再逮捕は原則禁止
刑事訴訟法は逮捕や勾留の制限時間を厳格に定めていますが、同一事件での再逮捕・再勾留を無制限に認めてしまうと、このような時間制限の意味がなくなってしまいます。そのため、再逮捕・再勾留は原則的に禁止されており、その可能性は低くなっています。
ただし、①新証拠の発見等、逮捕の不当な蒸し返しでないと認められる特段の事情があるときや、②逮捕後に常習犯罪の一部が行われた等、先行して行われた逮捕勾留時点での同時処理が不可能だった場合には、例外的に再逮捕・再勾留が認められています。
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