公正証書遺言があってももめるケース|どのように対処するべき?
公正証書遺言は、もめ事になるリスクが少ない遺言書ですが、作成過程や内容によっては遺言書の効力が問題となり、もめ事が起きることがあります。
本稿では、公正証書遺言があってももめるケースと、どのように対処するべきかについてご紹介します。
公正証書遺言があってももめるケース
①遺言者の認知症が疑われるケース
遺言が有効であるためには、遺言者に遺言能力(遺言の意味・効果を理解する能力)があることが必要です。
遺言者がご高齢の場合、認知症に罹っている場合も少なくないため、特に注意が必要です。
②証人が不適格であったケース
公正証書遺言が有効であるためには、2人以上の証人の立ち会いが必要です。
以下に当てはまる人は証人になることができませんが、不適格者が証人となった場合には、遺言は無効になります。
・未成年者
・推定相続人およびその配偶者・直系血族
・受遺者およびその配偶者・直系血族
・公証人の配偶者、4親等内の親族、使用人
③婚外子(認知あり)の存在を隠していたケース
遺言者に認知している婚外子は、相続人となるため、遺産分割協議に参加する必要があります。
しかし、遺言者が婚外子の存在を隠していた場合、婚外子が参加しない分割協議が行われ、協議自体が無効となってしまうおそれがあります。
もめた場合の対処方法
①相続人による話し合い
もめ事が生じた場合でも、相続人同士の話し合いによって解決できる場合があります。
相続人同士の関係性にもよりますが、法的手段に訴えるよりも感情的な対立を回避できる場合が多く、話し合いを経ることは重要です。
②遺産分割調停
遺言書が無効であることについて争いがない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
調停委員を交えて話し合いが進められるため、早期の分割が実現しやすいと言えます。
③遺言無効確認訴訟
遺言の有効性について争いがある場合、遺言無効確認訴訟を提起することができます。
ただし、判決確定後、改めて遺産分割の手続きを行う必要があります。
④遺留分侵害額請求
特定の相続人に全ての遺産を相続させる旨の公正証書遺言は、他の相続人の遺留分(被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人がもらえる最低限の相続財産)を侵害します。
このような遺言がなされた場合、他の相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求めることができます。
相続に関するご相談は弁護士・田中太朗(和泉府中法律事務所)におまかせください
もめ事のリスクが少ない公正証書遺言ですが、もめ事が起きるリスクはゼロではありません。
また、もめ事が起きてしまった場合、さまざまな対処方法がありますが、親族関係に大きな軋轢を残すおそれがあります。
弁護士に依頼することで、遺言者の意思を尊重しつつ将来のもめ事を回避できる遺言書作成のサポートを受けることができます。
公正証書遺言を含む相続に関するお悩みをお持ちの方は、弁護士・田中太朗(和泉府中法律事務所)までご相談ください。